先輩と甘い初恋はじめました。
「どうしたのって聞いてるの。無視しないでよ」
バチっと視線が絡まりあったあと、真剣な眼差しで私を見る。
その視線が、真っ直ぐで。
私は逸らすことが出来なかった。
「律貴、この子嫌がってんじゃん。離してあげなよ。早く帰ろう?」
気まづい沈黙を破ったのは隣にいた女の子。
彼女は、迷惑だと言わんばかりに、刺々しく言い放った。私はその目線に耐えられなくて、下に下げた。
「あ?円香(まどか)には関係ないだろ。俺は琥珀に聞いてんだ」
律貴先輩はギロっと女の子を睨むと、私に不安そうに目を向けた。
だけど…………
「何よ!私よりその子が大事なの!?」
「そんなこと言ってないだろ。どうしちゃったんだよ」
「もうっ!律貴のバカ!先に帰る!」
「円香!?」
円香と呼ばれた彼女は怒鳴ったあと、私を睨んでその場を去ってしまった。