先輩と甘い初恋はじめました。
円香の顔を見ずに机にオレンジジュースが置いてあるお盆を乗せた。
こいつは幼なじみの松井円香(まついまどか)。生まれた時からずっと一緒で、家が隣同士。親同士も仲が良くて必然的に同じ時間を過ごしていた。
隣にいるのが当たり前で。
だけど円香には恋心を抱いたことはなくて、どちらかというと家族みたいなカテゴリーに入る。
友達以上、恋人未満。
そんな関係がずっと続いていた。そして、それは変わらない関係だと思っていた。
でも、俺が琥珀に恋をしてからは円香といるのを面倒くさがったり、無視したりするようになった。
そんな態度をとったせいか円香は今までよりくっつくようになったし、俺から離れなくなってしまった。
幼なじみってなんだっけ。
そんなことを考えるようになってしまった。
「あのさ、あの子…………琥珀ちゃん、だっけ」
俺が座ったことを確認した後、円香が口を開く。