先輩と甘い初恋はじめました。

「律貴、円香ちゃん帰っちゃったけど、大丈夫?」



返事をすると母さんがひょっこりと顔を出す。



「大丈夫って?」


「泣いてたみたいだけど………喧嘩でもした?」


「大丈夫だから。俺らのことはほっといて」



心配してくれているのはわかってる。でもそんな余裕は今の俺にはなかった。



「そう?早く仲直りしなさいよ」



母さんは何かを察したのか、それだけ言うと部屋から出ていった。


それを見届けて、はぁ、とため息をつく。


…………何となく予想していたけど、直に言われると………めんどくさい。


他のクラスや、学校の奴らなら冷たくスッパリ振っても大丈夫だろうけど幼なじみとなるとそうはいかない。


家族に気を使わせてしまう。


こうなるから、円香とは幼なじみのままで良かったんだ。恋人になると気恥ずかしくて、今まで通りに接することが出来なくなる。


円香とは…………離れていたい。
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