先輩と甘い初恋はじめました。

そんな思いがあっても強く引き止める勇気もなくて。私と律貴の心の距離は広がっていくばかりだった。


私がこの思いに気づいたのは中学の頃。


律貴といるとドキドキして、もっともっと私のことを見てほしい。そう思ったのがきっかけでこの思いが恋心だと気づいた。


その日から私は頑張った。


律貴に振り向いてもらえるように。今はただの幼なじみでいい。


この心地よい関係を壊したくないから。


そんなふうに今まで過ごしてきたけど。


私の努力はあっさりと裏切られた。



「悪いな。先約あるから。じゃーな」


「あ、ちょっと!」



じーっと見つめるけどそれも意味がなく。そのまま素通りしていった。


私の気持ちには全然気づいていない。


ここ最近、嬉しそうに教室を出ていく律貴を見送るだけ。ずっとこのままでいいの?


そんなの…………嫌だ。


もしかしたら、律貴に好きな人ができたのかもしれない。
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