君と恋をするための三か条
「ああ…。 『私と付き合ってください』って。『あなたがいい』とか、何度も。手をこう、がしっと掴まれてさ」

七瀬さんは何食わぬ顔で言うけれど、私は青ざめて土下座した。

「本当に申し訳ありません…! 訳の分からないことを言いました。どうかお気になさらず、忘れてくださいませんか…」

消えたい…泣きたい…逃げ出したい。
魔法が使えるなら、彼の記憶を根こそぎ抹消するのに。

「いいのか? 結婚阻止大作戦。相手が必要なんだろう?」

私が密かに計画していたはずの作戦名に驚いて顔を上げると、にやりといたずらっ子のような笑みを浮かべた七瀬さんと目が合う。

「私! そんなことまで…!」

「俺がいいんだろ? いいよ。東雲麗花さん。俺と付き合おう」

「そ、そんなっ! 大丈夫です、昨日のことは、寝言のようなもので、何も七瀬さんを巻き込むつもりはないですから!」
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