君と恋をするための三か条
そう。本気にしてくれなくていい。
確かにあの時、この人に作戦に協力してほしいと思った。
おそらく酔っていたとはいえ、まだ意識ははっきりしていたはずだもの。

「寝言…ね。 君が眠るまで夜通し、あんなことやこんなこと言われて、俺がすっかりその気になってたらどうするつもり?」

七瀬さんがすっと立ち上がり、正座する私にじりじりと近づく。
何故か詰められる距離に私は目を逸らし。体をのけぞらせる。

「あ、あんなことやこんなこと…なんて、言ってないわ…」

「でも、覚えてないんだろ?」

「それ、は……あの、なんだか距離が近くない?」

「昨日はもっと近かったけど?」

「うそ…!」

意味深なセリフを言う彼の顔を見る。
近かったって、どんな…?
私いったい、何をしたの…?

「それはうそ」

七瀬さんは私の慌てようにくすくすと笑い、そう言ってぱっと離れる。

ほおっと息を着くのとどうじに、からかわれたと若干怒りを覚える。

「ごめんて。悪ふざけが過ぎたよ」

「ええ、本当に」

「でもさっきのは冗談じゃないよ。俺を煽ってその気にさせたことについて、あとでじっくり話し合おう」

眉間に皺を寄せて、ぎこちない笑みで彼を見つめる。
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