君と恋をするための三か条
洗い物を終え、キッチンが片付くと、七瀬さんが紅茶をいれてくれた。

口に運ぶと、茶葉の香りが全身にしみ渡る。
『てぃーの』という有名なショップのものらしい。

「七瀬さん、あの…」

「ああ、うん。俺と君が付き合うって話しね」

「一つ質問いいですか」

「お、なになに?」

何が嬉しいのか、身を乗り出して食い気味に聞いてくる。

「七瀬さんは、私の寝言をどうして真剣に受け止めてくれたのでしょう…」

「そうだなあ。君に興味が湧いたから?」

なんで疑問形?

「興味というのは、つまり…」

「君の結婚阻止大作戦、面白そうだなって。 だからさ、聞かせてよ。なんで結婚を阻止したいのか、それになんで男が必要なのか」

「聞いて、七瀬さんはどうするの?」

「聞いても聞かなくても、俺の中で君の作戦に協力するのは決定事項」

興味津々というような七瀬さんの口調と固そうな意思に、私は小さくため息をついた。
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