君と恋をするための三か条
「まずだいいちに、私は一生結婚するつもりはありません。 恋とか愛とか、そんな不確かなものに惑わされ周りが見えなくなるなんて、危険すぎるから」

「…君、つまらないって言われない?真面目というか、堅物というか、頑固?」

…失礼な人。やめた。真面目に話すのは。

「さあ。言われたことはないわ。父は基本放任主義だし、そんなこと言ってくる友達もいないもの。もしかしてそれって、つまらないのが原因なのかしら」

「母親は?」

「浮気して出ていった。今はどこかで相手の男と結婚して、子供もいるみたい。私には関係の無いことだけれど」

「なるほど。結婚したくないのはそれが原因ってわけだ」

「人間に、他人の人生を背負うほどの余裕なんてないのよ」

愛し合って結婚したはずの両親が目の前で何度も喧嘩をし、挙句母は不倫して喧嘩別れ。
仕事が忙しいのを理由に家庭を顧みない父のせいだと、母は言い残して。

「それが最近、父が私にお見合いをさせるつもりみたいで」

「ああ、社長令嬢だもんな。良いとこの坊ちゃんとこに嫁ぐのか。今どきお見合いって、古い気もするけど」
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