君と恋をするための三か条

それは私も同感だわ。
けれど東雲家は旧華族であり、何百年も前に別な商業で発展し、形を変えながら今に続いてきた。
古臭い考えが残っていても不思議じゃないとは思う。

「そこで、作戦の内容だけど」

紅茶を一口飲む。
本当に美味しいわね。私も行ってみたいな。

「一度結婚して、別れる。私は結婚に向いていないと思わせたいのよ」

「確かに、最初から離婚前提なら相手は誰でもいいわけだ。離婚すれば、今後そういう話も出てこなくなるだろうってこと？」

「ええ。そんなところ」

「期間限定の契約結婚かあ。ますます面白そう。実は俺も同じようなこと考えたことあるんだよな」

「七瀬さんが？」

「俺目当てで押しかけてくる女性客に困っててさ。なんか文句つけて、シェフ呼べって騒ぐの。で、俺が行くと態度変えて、連絡先交換してくれ、とか」

「ああ…あなた顔が良いものね」

イケメンにはイケメンなりの苦労があるらしい。憐れむ目で彼を見つめる。