君と恋をするための三か条
「…おいやめろ、そんな目で見るな」

七瀬さんはしかめっ面をする。

「ってわけで、一時的でもちゃんとした相手ができるってのは、はっきり断る理由にもなるし俺にとっても好都合だ」

「じゃあ、本気で私に協力してくれるの?」

「ああ。喜んで」

にこにこと屈託なく笑う七瀬さんに、若干頬をひきつらせる。

七瀬さんと契約結婚……思わぬ展開だけれど、私の目的は果たせそうだ。

「では、改めて確認するわね。 条件を三つ」

「条件?」

「一、結婚を前提とすること。
二、途中棄権はなし。最低でも婚姻届を提出するまで。だから離婚はあり」

「オッケー。三つ目は?」

「私を愛さないこと。…あなたモテるみたいだし、その心配はなさそうだけど、一応」

「はは。言うねえ」

七瀬さんが目を細めて笑う。

「他に、知りたいことはある?」

「いや、大丈夫だよ。あとはこれからゆっくり知っていくことにするから」

「…そう」

そんなふうに宣言されると、妙に身構えてしまう。
つまらない人間の何を知って面白いのだろうか。この人の考えはイマイチ掴めないところがある。
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