君と恋をするための三か条
「それじゃあ、これからよろしくってことでいい?」

「はい。 七瀬さん」

「新でいいよ。俺も麗花って呼ぶ」

「ええ、新。よろしくお願いします」

新が美しく微笑む。

私たちはこの日、不思議な関係をスタートさせた。
期限は結婚して離婚するまで。
恋ではなく、お互いの利害の一致の末のお付き合いが始まった。



私はすぐに父に報告した。
先手必勝、新にも許可をとって、『お付き合いしている男性がいる』と言うと、案の定『連れてきなさい』とのこと。

けれど、出会って間も無さすぎる私たちがいきなり父と正面衝突なんて危険な真似はできない。

『忙しい人だから』と父を納得させ、新を紹介するのは約一ヶ月後に決まった。

それまでに、私たちはそれ相応の信頼関係を築かなければならない。
本物の恋人に見られるように、怪しまれないように必要な時間だ。

実際、新はCocoのシェフとして休みはあまりなく多忙な毎日を過ごしている。

兎にも角にも、七瀬新との結婚阻止大作戦の始まりだ。



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