君と恋をするための三か条
三、条件を変更します
料理の息抜きに料理の指導……果たしてそれは息抜きと言えるのかどうか私には分からないが、本人がもうやる気らしい。
この間、水族館デートを中断して新の部屋で雨宿りさせてもらうことになったとき、私の料理バカがばれて、毎週Cocoの営業が夜だけの時に新に料理を教わることになった。
新と最近、やたら距離が近い気がする。
けれど、男性との出会いを求めていなかったから、進んで接触しようとしてこなかった私の判断では心もとない。
異性に慣れていない私のセンサーが過敏に反応しているだけなのかしら。
料理の練習だって、言いくるめられたも同然…。
悶々としつつ、新の部屋の前に立つと、すかさずドアが開いた。
「いらっしゃい!待ってたよ」
満面の笑みで出迎えられ、顔が引き攣る。
新はいつも楽しそうだ。
「テンション高いわね…」
「麗花に会えるの、楽しみにしてたから」
「そ、そう…」
ほら、こういう発言が増えたような。
一流シェフに料理を教えてもらいにきただけのはずなのに、講師は私目的?
『講師が男だったら仕事が手につかない』なんて独占欲かと錯覚させる台詞も思い出し、ますます悩む。
新が自然な流れで買ってきた食材たちを私から受け取り、「入って」と促した。