君と恋をするための三か条


この日のために用意したエプロンを身につけ、新とキッチンに立って調理開始。
今日のメニューは、豚汁、焼き魚、ほうれん草のおひたし、だし巻き玉子と和食のオンパレード。

新いわく、『フレンチより和食のほうが馴染みやすい』らしく、素直に従った結果、まずは定番をということになった。

豚汁の具材を切って煮込む間に魚を焼き、卵液を作ってほうれん草にも火を通す。加えて食器を溜め込まないようにこまめに洗いながら。
料理というのは、いろいろなことを同時進行で行う極めて厄介かつ労力を要する所行だった。

けれど、完成し、美味しそうな湯気を立てて食卓に並ぶ時、その疲労はいくらか和らぐ。
完全になくなるわけじゃないのがまた悲しい。
料理をしていると、食材の香りやらなんやらで食べた気になるのか、出来上がる頃にはそこまで空腹を感じなくなっていた。
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