君と恋をするための三か条


新と料理をするようになって数回目には、『慌ただしくして悪いから』と、新が仕事のため部屋を出たあと、私は鍵を預かりゆっくりめに支度をしてマンションを出るというサイクルができていた。
時には週二日通うこともある。
おかげで料理の腕も上達していると思う。
最近は少し手の込んだものにも挑戦し、家で復習するのも忘れない。

初めて自力で作ったものを持っていったら、美味しい美味しいと連呼して平らげてくれた。
人にご飯を作る喜びは結構大きい。こんな幸せを感じたのは初めてかもしれない。


その日も新を見送り、自分も部屋を出ようとしたところで、リビングのテーブルに見覚えのあるスマホを見つける。

「携帯しなくちゃ意味ないじゃない」

Cocoのあるホテルは私のマンションまでの通り道にある。
いつもと帰路を変える必要はあるけれど、苦になるほどではないので寄っていくことにした。

< 47 / 69 >

この作品をシェア

pagetop