君と恋をするための三か条
…一人で良かった。
愛する人を最後には蔑み合うなんて未来があるなら、両親みたいになりたくなくて、恋愛なんてするものじゃないと思っていた。
死ぬまで、自分のためだけに生きていればいいと思っていた。

意識的にそういうものを避けていても、私の女としての心はずっと求めていたのかもしれない。
開花しないように守ってきたけれど、私の頑なな盾をすり抜けて見つけて包みこもうとする温もりに、どうしようもないくらい胸が苦しくなる。

「麗花が好きだ。ずっと一緒にいたい。俺を好きになって、俺と恋をしてほしい」

私は新から視線を逸らして俯いた。

長く固く閉めていた心は、簡単には素直になれない。

「私たちもう一緒にいられない」

「麗花」

「私はあなたに愛情なんて求めてないの。それが発生したら終わりなの」

新もすぐには引き下がらない。
変わらず穏やかな口調で、それでいて逃がすまいという確固たる意思の伝わる話し方をする。
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