君と恋をするための三か条
新の真摯な言葉は真っ直ぐに心に刺さる。
こんなにも私を思ってくれているなんて、信じられない気持ちと、抑えきれない嬉しさとで葛藤する。

「分かってる。 他人の人生を背負う責任だろ。俺に委ねてよ。絶対、後悔させないから」

「どうしてそこまで言えるの…? なんで、…私の中に入ってくるのよ…」

「そんなの決まってるだろ」

間髪入れず、新が自信たっぷりな笑顔で言う。

「麗花を、愛おしく思っているから」

それからとびきり優しく目を細め、ふわりと私を抱擁する。

「東雲麗花さん。 俺と結婚を前提に付き合ってください」

新の腕の中で、私は初めての感情を自覚した。

「私今、はじめて人を好きだと思った…。愛おしいと思えた」

新が愉快そうに笑う。

「俺の猛アプローチが効いてよかった」

私の中の蟠りが、涙になって溶けていく。
温かくて大きな愛で、解れる。

頬を伝う雫を新が優しく拭ってくれた。
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