君と恋をするための三か条
彼と一生恋をするために
目を覚まし、首をめぐらせると横に好きな人の顔。
何度でも言い知れぬ幸福感を味わいながら、今日が特別な日だからかじわじわと涙が浮かぶ。
私は新の恋人になったのだ。
大切な人ができた。
嬉しい。新が私を好きになってくれて。
自分がそんなふうに思う日が来るなんて、一か月前には想像もしていなかったのに。
ふと、新が目を開けてこちらを見ているのに気がつく。
「なに、泣いてんの」
困ったように笑って頭をくしゃくしゃと撫でられ、いつから起きていたのかと思案するのをやめた。
私は思うままに彼に抱きつく。
顔を上げると、楽しげに笑う新。
「締りのない顔」
「新だって」
「…もう一回する?」
「無理!」
結婚式前夜、なかなか離してもらえなかったせいで私は幸せな疲労感で満たされている。
出会って一年。夫婦になって半年とちょっと。こんな生活が続いていればいい加減体力もついてきたけれど。
「起きるよ! ゆっくりしてる暇ないんだから」
手早く衣服を身にまとってカーテンを開ける。
五月。日に日に気温が上がっている気がする。
今日は私たちの結婚式。
父の計らいで、それは盛大に執り行われる予定だ。