君と恋をするための三か条
『父さんはなにも、結婚を反対するつもりはないよ。素敵な方じゃないか。ふたりで仲良くやっていきなさい』

『えっ』

予想外の反応に、驚いて間抜けな声が出る。

『でも、お父さん、私にお見合いさせようとしてたんじゃ…』

『お見合い? ああ、相手がいないなら、こちらで紹介しようかと思っていただけだ。大事な娘の結婚相手、無理やりだなんて考えていないさ』

『えぇ…』

あの日、実家のリビングに置かれていたお見合い写真。
私の早とちりだったということ……?

新の顔を見ると、彼は私を呆れた目で見つめてくる。

『ひとりで突っ走ったな。君の悪いくせだ』

…って言ってる目だ。

私は肩をすくませて、へらりと笑ってみる。
さすがにこれで誤魔化せる相手じゃないのは分かってる。

新は歪な笑みを浮かべ、私を見据えていた。

そのあと、私はいつも勘違いして勝手に話を進めすぎだとお説教された。
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