君と恋をするための三か条
歩行者信号が赤になり、立ち止まって空を見上げる。
街明かりのせいで星は見えなかったけれど、とてつもなく広く繋がる夜空が美しく思えた。
私の心は晴れ晴れとしているからだろうか。

「お母さん、すごく元気だった。 幸せそうだった。曲がりなりにも、二回目の結婚は成功したみたい」

「お母さんに会えて良かったか?」

歩き出すのと同時に、新が前を向いたまま聞く。

「ええ。…まあ、不貞行為をしたのに変わりはないから、何のしがらみもなくっていうのは難しいけれど。 父とは上手くいかなかったけれど、今の旦那さんとは楽しそう。 結婚て、巡り合わせなんだなあって思いました」

「そうだなあ。 余計なお世話かとも思ったけど、方がついたみたいで安心です」

新が穏やかに笑った。
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