S級な先輩の溺愛。
 そこは、海だった。
「海ですか?」
「そう。この時期の海よくない?」
「すごくいいですよね。
 誰もいなくて、波の音がちゃんと聞こえて。」
「そうなんだよね。心が洗われるかんじ。」

 そう言って、近くのベンチに座った。
 私も一緒に座ることにした。

 久保さんは何も話さなかった。
 私も何も話さなかった。
 静かに、2人で海を見ていた。

『なんだろう?今、嫌じゃない。
 すごく心地いい感じがする。不思議。』
 誰かといて、心地良い感じがしたのは、はじめてだった。

「そろそろ行こうか。」
「あっはい。」
 急に、声がして、びっくりした。
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