S級な先輩の溺愛。
 会社を出ると、雨がザーザーと降っていた。
 私は傘を持っていなかった。
 仕方なく、濡れて帰ることを決意した。

 会社から、数百メートル歩いたところで、久保さんを見かけた。

 声をかけようかと、思った瞬間。

「かいと、待って。家に泊めて。」
 とてもキレイな女の人だった。
 親そうだった。

「嫌だし。なんでだよ。」
「旦那と喧嘩した。戻りたくない。」
「もう。今日だけな。」
 
『あっ、泊まるんだ。あの人。』
 ショックだった。
 私は、自惚れてたと思った。

 以前、彼氏候補宣言したり、好きだとも言ってくれたのに、舞い上がっていた。
 でも、あんな完璧な男性は、女が放っておくわけがない。

『私なんて、バカ。
 今頃、好きになっても遅いんだよ。』
 雨に打たれながら、歩いて、自宅まで帰った。
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