四校の恋愛トピック
ーガラガラ。教室に戻ると、みんなは座ったままではあるけれど、ペチャクチャおしゃべりをしていた。
「ーでもさ、やっぱ、天宮妹派だな〜私は」
「え〜、そぉ?私は、オシャレで美人の花梨派だな」
私の心は怒りを呆れが追い越していった。みんな、花梨の前では何にも言ってくれないくせに、軽い気持ちで批評しないでほしい。そう思ってキュッと唇を結んだ。すると、隣から冷ややかな声が聞こえてきた。
「お前らさ、そんなこと言って何が楽しいの?松本、嫌がってんじゃん」
誰が何を言ったのか、咄嗟には分からなかった。でも、少し経って、目の前の声を上げた男子が松本君だと理解できた。
当のみんなは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして松本君を見上げていた。
松本君に促すように見つめられ、思わず声を上げる。
「…私は」
みんなは、私の方をずっと見ていた。
「…私は、姉とは違います」
みんなは、訳がわからないというように怪訝な顔をした。
「かってに、比べないで」
みんなは、少々目を見開いて、バツが悪そうに顔を背けた。私がそんなことを言うとは思わなかったのだろう。
それに比べて、松本くんは、満足したように満面の笑みを浮かべていた。
「それじゃ、終礼始めます、起立」
***
私は、先ほどのお礼をしに、音楽室前まで来ていた。
(今日は、部活ない日だし、いるかわかんないけど…)
そう思いながら、松本くんがいるか、覗いてみた。だが、そう簡単にはいかず、教室は静まり返っていた。
「いない、かぁ…」
思わずそう呟くと、
「誰が?」
という心地よいテノールの声が聞こえてきた。
「ひゃっ!?」
驚いて振り向くと、少し微笑んだ松本くんの顔が私の肩のうえのあたりにあった。
その至近距離に心臓がバクバクしているのを抑えようとしていると、もう一度、声を発した。
「誰、探してるの?合唱部?」
「うっ、ううん、松本くんを探してたの」
すると、松本くんは首を傾げた。
「なんか、あった?委員会の呼び出しかな?」
私は、少し言葉を詰まらせていうかどうかを迷っていたのだが、意を決して言った。
「あの、ありがとうございました!」
松本くんは、目を点にした。でも、イケメンだから様になっている。カッコいい。
「なんかしたっけ?お礼されるようなこと」
しかも敬語になってる、と松本くん。
「花梨ちゃんの話で…、言えなかったこと、言えたし…」
「…あぁ、あの話…言いたいこと、言えて良かったな」
「うん、ありがとう」
そう言って、私は思わず微笑んだ。あんなことをしておいてなんともないと思っているくらい、優しい人なんだなと思ったからだ。
「…松本くん?」
少し頬を朱に染めてそっぽを向いている松本くんに声をかける。松本くんは慌てて私に背を向けていった。
「…っ、ちょっとこっちみないでくれない?」
え、え…?と、混乱していると、くるりと振り返った松本くんは、少しきまりが悪そうにいった。
「一緒にかえろ。」
「え…?いいけど…」
なんでいきなり誘ってきたのか、意味がわからないまま、連れられるがままに後ろを歩いて行った。
「ーでもさ、やっぱ、天宮妹派だな〜私は」
「え〜、そぉ?私は、オシャレで美人の花梨派だな」
私の心は怒りを呆れが追い越していった。みんな、花梨の前では何にも言ってくれないくせに、軽い気持ちで批評しないでほしい。そう思ってキュッと唇を結んだ。すると、隣から冷ややかな声が聞こえてきた。
「お前らさ、そんなこと言って何が楽しいの?松本、嫌がってんじゃん」
誰が何を言ったのか、咄嗟には分からなかった。でも、少し経って、目の前の声を上げた男子が松本君だと理解できた。
当のみんなは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして松本君を見上げていた。
松本君に促すように見つめられ、思わず声を上げる。
「…私は」
みんなは、私の方をずっと見ていた。
「…私は、姉とは違います」
みんなは、訳がわからないというように怪訝な顔をした。
「かってに、比べないで」
みんなは、少々目を見開いて、バツが悪そうに顔を背けた。私がそんなことを言うとは思わなかったのだろう。
それに比べて、松本くんは、満足したように満面の笑みを浮かべていた。
「それじゃ、終礼始めます、起立」
***
私は、先ほどのお礼をしに、音楽室前まで来ていた。
(今日は、部活ない日だし、いるかわかんないけど…)
そう思いながら、松本くんがいるか、覗いてみた。だが、そう簡単にはいかず、教室は静まり返っていた。
「いない、かぁ…」
思わずそう呟くと、
「誰が?」
という心地よいテノールの声が聞こえてきた。
「ひゃっ!?」
驚いて振り向くと、少し微笑んだ松本くんの顔が私の肩のうえのあたりにあった。
その至近距離に心臓がバクバクしているのを抑えようとしていると、もう一度、声を発した。
「誰、探してるの?合唱部?」
「うっ、ううん、松本くんを探してたの」
すると、松本くんは首を傾げた。
「なんか、あった?委員会の呼び出しかな?」
私は、少し言葉を詰まらせていうかどうかを迷っていたのだが、意を決して言った。
「あの、ありがとうございました!」
松本くんは、目を点にした。でも、イケメンだから様になっている。カッコいい。
「なんかしたっけ?お礼されるようなこと」
しかも敬語になってる、と松本くん。
「花梨ちゃんの話で…、言えなかったこと、言えたし…」
「…あぁ、あの話…言いたいこと、言えて良かったな」
「うん、ありがとう」
そう言って、私は思わず微笑んだ。あんなことをしておいてなんともないと思っているくらい、優しい人なんだなと思ったからだ。
「…松本くん?」
少し頬を朱に染めてそっぽを向いている松本くんに声をかける。松本くんは慌てて私に背を向けていった。
「…っ、ちょっとこっちみないでくれない?」
え、え…?と、混乱していると、くるりと振り返った松本くんは、少しきまりが悪そうにいった。
「一緒にかえろ。」
「え…?いいけど…」
なんでいきなり誘ってきたのか、意味がわからないまま、連れられるがままに後ろを歩いて行った。