四校の恋愛トピック
下駄箱を出ると、しとしとにわか雨が降っていた。
「…傘、ある?」
「…あっ、、」
忘れてた。傘は、松本くんに会いに行く前に、昇降口で困ってた女の子に渡しちゃったんだった。と、思い出していると。
「…ないの?じゃあ、入れてあげるからいこ」
とだけ言い、傘を開いて私の方へ少し傾けた。
「えっと…ありがと」
私は恐る恐る傘の中に入った。さっきまではにわか雨だったのに、かなり激しくなってきた。
もう少し近づくと、肩同士が触れ合ってしまいそうな距離に緊張しながらも、私たちは歩き出した。
「…嫌だった?」
と、いきなり不安そうに松本くんがきいてきた。全然そんなことはないので、必死に否定する。
「ううん、そんなんじゃなくて…」
「相合傘、恥ずかしい?」
「あいあいがさ…相合傘…相合傘!?」
そこで初めて、今この状況が、小説や少女漫画で見た、カップルがしていたあの『相合傘』だということに気がついた。今更だけど、頬に熱が集まっていく。
「…ふっ」
え!?今、笑ったよ?なんで?という気持ちが伝わったのか、気持ちが顔に出てむくれていたのか、ゆったりと口を開いた松本くんはこう言った。
「ごめん、ごめんって。そんなに拗ねないで。俺もきんちょーしてるんだから」
俺も、きんちょー、してる??なんで??でも、それをきいて、妙に恥ずかしくなった。
「…松本くんのバカ」
「え!?なんで!?」
「なんでもない」
「なんか冷たくない!?」
という、たわいもないやりとりを繰り返しながら進み、電車に乗り込んだ。電車の車内放送を聴きながら、てかさ、と松本くんは口を開いた。
「千秋って呼んでよ」
「…恥ずかしいからヤダ」
この帰り道の数十分で、かなり本音を口に出せるようになっていた。
「お願い、呼んでくれたらむっちゃ嬉しいから」
「えー…」
「胡桃〜」
「え///」
今、名前で読んだよね…恥ずかしい…でも、嬉しかった…という気持ちがぐるぐる回る。
半ばやけになりながら、よんでみることにした。
「…千秋、くん」
「くんいらない」
「ち、千秋」
「ん、ありがと」
少し頬を緩ませてふんわり笑う顔に、走ったわけでもないのに心臓がドキドキした。
「これからはそうやって呼んでね」
「、わかった」
機嫌が一気に良くなったように見える松…千秋に、嫌だとは言えなかった。
『ーまもなく、〇〇、〇〇ですー』
車内放送で、私の家の最寄駅に着いたことがわかり、千秋に声をかけた。
「私、ここで降りる」
「え、俺も。一緒に行こ」
桜坂くんも、最寄駅がここだったらしい。嬉しくて、すこしワクワクしながらホームを抜けた。雨は一層強くなっていた。
「入って」
先に傘をさした千秋が手招きした。
「ん、ありがと」
傘にあたる雨の音を聞きながら、しばらく無言で歩いた。
「…家、どこ?」
歩きながら唐突に千秋が言った。
「あ、あの角を曲がってーー」
説明すると、千秋は、そこまでいくと言ってくれた。申し訳ないなと思いながらも、千秋に甘えておくことにした。
「…傘、ある?」
「…あっ、、」
忘れてた。傘は、松本くんに会いに行く前に、昇降口で困ってた女の子に渡しちゃったんだった。と、思い出していると。
「…ないの?じゃあ、入れてあげるからいこ」
とだけ言い、傘を開いて私の方へ少し傾けた。
「えっと…ありがと」
私は恐る恐る傘の中に入った。さっきまではにわか雨だったのに、かなり激しくなってきた。
もう少し近づくと、肩同士が触れ合ってしまいそうな距離に緊張しながらも、私たちは歩き出した。
「…嫌だった?」
と、いきなり不安そうに松本くんがきいてきた。全然そんなことはないので、必死に否定する。
「ううん、そんなんじゃなくて…」
「相合傘、恥ずかしい?」
「あいあいがさ…相合傘…相合傘!?」
そこで初めて、今この状況が、小説や少女漫画で見た、カップルがしていたあの『相合傘』だということに気がついた。今更だけど、頬に熱が集まっていく。
「…ふっ」
え!?今、笑ったよ?なんで?という気持ちが伝わったのか、気持ちが顔に出てむくれていたのか、ゆったりと口を開いた松本くんはこう言った。
「ごめん、ごめんって。そんなに拗ねないで。俺もきんちょーしてるんだから」
俺も、きんちょー、してる??なんで??でも、それをきいて、妙に恥ずかしくなった。
「…松本くんのバカ」
「え!?なんで!?」
「なんでもない」
「なんか冷たくない!?」
という、たわいもないやりとりを繰り返しながら進み、電車に乗り込んだ。電車の車内放送を聴きながら、てかさ、と松本くんは口を開いた。
「千秋って呼んでよ」
「…恥ずかしいからヤダ」
この帰り道の数十分で、かなり本音を口に出せるようになっていた。
「お願い、呼んでくれたらむっちゃ嬉しいから」
「えー…」
「胡桃〜」
「え///」
今、名前で読んだよね…恥ずかしい…でも、嬉しかった…という気持ちがぐるぐる回る。
半ばやけになりながら、よんでみることにした。
「…千秋、くん」
「くんいらない」
「ち、千秋」
「ん、ありがと」
少し頬を緩ませてふんわり笑う顔に、走ったわけでもないのに心臓がドキドキした。
「これからはそうやって呼んでね」
「、わかった」
機嫌が一気に良くなったように見える松…千秋に、嫌だとは言えなかった。
『ーまもなく、〇〇、〇〇ですー』
車内放送で、私の家の最寄駅に着いたことがわかり、千秋に声をかけた。
「私、ここで降りる」
「え、俺も。一緒に行こ」
桜坂くんも、最寄駅がここだったらしい。嬉しくて、すこしワクワクしながらホームを抜けた。雨は一層強くなっていた。
「入って」
先に傘をさした千秋が手招きした。
「ん、ありがと」
傘にあたる雨の音を聞きながら、しばらく無言で歩いた。
「…家、どこ?」
歩きながら唐突に千秋が言った。
「あ、あの角を曲がってーー」
説明すると、千秋は、そこまでいくと言ってくれた。申し訳ないなと思いながらも、千秋に甘えておくことにした。