そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
四章
ゼノンから嫁になれ宣言を受けて一年半が過ぎ、ミルドフキローアカデミー入学まであと半年と迫っていたとある昼過ぎ、ソフィアはゼノンの執務室の扉を緊張の面持ちと共にノックする。
すぐに室内から部屋の主の「はい」という声が返ってきて、ソフィアは「失礼します」と重厚な扉を押し開けた。
顔だけ出して室内を覗き込めば、手にしていた書類から視線を上げたゼノンと、その傍にマシュー、そしてゼノンと向き合うようにルイスが立っていた。
ソフィアは少し躊躇った後、おずおずと執務室に足を踏み入れる。
「制服が届いたから、着てみたの。ど、どうかしら?」
ソフィアはみんなの前まで進んでから、両手を広げて、ぎこちなくくるりと回って見せる。
ミルドフキローアカデミーの制服が先ほどソフィアの元に届いたため早速着替えると、ハンナに「お可愛らしい」と褒めそやされ、「ゼノン様にもお見せになってはいかがでしょうか」と提案を受け、こうしてソフィアはやってきたのだ。
「姫様、とってもお似合いです!」
「そうですね似合っております。……まぁ、紺を基調とした制服ですし、誰でもそれらしく見えるとは思いますが」