そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「俺も一緒にアカデミーに行くことにしよう。共に授業を受けるのも面白いかもしれない」
楽しそうに微笑むのはゼノンだけで、ソフィアたちは飛び出した発言に唖然とする。
一拍置いて、マシューが我にかえり、一気に顔が青ざめていく。
「何を言い出すんですか。ゼノン様に学生生活をのんびり楽しむ暇なんてありませんよ。全くありませんからね!」
マシューの念押しなど聞き流して、ゼノンは俺も準備が必要だなと呟きながら執務室を出て行ってしまう。
それを焦った様子でマシューが追いかけていった。
「まったく、どこまでも過保護な父親ですね」
ひとり残され呆れているルイスに、ソフィアはゼノンがクラスメイトだったらという妄想を頭の中で繰り広げながら話しかける。
「きっと、お父様が授業を受けていたら、生徒よりも教師が恐縮してしまうわ」
「そうでしょうね。しかも、ゼノン様の知識量は圧倒的ですから、生半可な教師では太刀打ち出来ないでしょう。難題をぶつけて教師を困らせた挙句、そんなことも知らないのかと言われ、自信を喪失させることでしょう」
「……いくらなんでもそんなことは」
「しますよ。今のは我々が学生だった頃にあった本当の話です。もちろんまだありますよ、楯突いてくる生徒に対しても彼は容赦なかったですから」