そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
真新しい制服に再び身を包み、ソフィアはハンナと共に宮殿の入り口近くで待機している馬車と、道中の護衛役だろう騎士団員たちに向かって進んでいく。
「一緒に学園生活だなんて言っていたけれど、そんなことさすがに無理よね」
まだ半人前の生徒ばかりの中で、カリスマオーラ全開のゼノンが共に授業を受けている光景はやはり異質だ。
「あぁ。だからせめて格好だけでもソフィアたちに溶け込めるように頭を使った」
後ろからかけられた声で相手が誰かわかり、ソフィアは笑顔で振り返るも、マシューや騎士団員たちを引き連れてやってきたその姿を見て、ポカンと口を開ける。
「……お、お父様……なのですよね?」
「あぁ。俺はゼノン・アンドリッジで間違いない」
ソフィアの目の前に立ったゼノンはいつもの見た目と違っていた。
ソフィアよりもすこしばかり背が高く、見た目年齢も大人というより少年に近い。
若かりし時のゼノンと言い表すのが一番しっくりくる。
「ど、どうやってそのようなお姿に?」
「日頃の魔力研究の賜物だ」
「魔法で見た目を若返らせることもできるんですね」
「いくら研究を進めているからと言って、現時点でこんなことを簡単にやって退けられる人は、ゼノン様だけですよ。本当にあなたは規格外だ」