そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「そう言うことだったのね」と感心するソフィア同様、クラウドも感銘を受けたようにゼノンを見つめる。
「俺だということを公にしたくない。黙っていろ」
「わかりました!」
クラウドが力強く答えたところで、案内係の男性が「新入生の皆さん」と声をかけつつ歩み寄ってきた。
「そろそろ入学パーティーが始まる時間です。早く受付へ移動してください」
ソフィアが「はい」と返事をすると、案内係の男性はニコリと笑ってソフィアたちが乗ってきた馬車の方へ移動し、ハンナと御者に「あなた方は荷物を寮の部屋へ」と指示を出す。
その様子を見つめていると、ゼノンが思い出したように先ほどの話の続きを口にした。
「その他の大きな理由としては、俺がソフィアと一緒にいたかったというのもある」
「……え? 今なんと」
「なんでもないわ。早く中に入りましょう。受付を済ませなくちゃ」
ニヤリと笑ってゼノンが発した追加理由に、クラウドがキョトンとして聞き返したため、ソフィアは慌ててゼノンの背中を押して歩き出すように促す。
本当に聞き取れなかったらしく、クラウドは繰り返し聞き返す。