そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
咄嗟に表情を暗くしてみたものの、ちょっと待てよとソフィアは首を傾げる。
自分が迎えたい結末は、クラウドとメレディスの恋が成就し、なおかつ三人の友情が深まった先にある。
別に愛想悪くする必要はない。第一印象は大事だものと思い直し、ソフィアはいつもの調子で、にこりとメレディスに笑いかけた。
「私、ソフィア・アンドリッジ。新入生同士、仲良くしましょう」
「……え、えぇ。よろしく」
ほんの数秒だが、確かにあったメレディスの戸惑いの間に、ソフィアは「あれ?」と不思議な気持ちになる。
メレディスは人懐っこくて、クラウドからも「いつも笑顔でいてくれるから、君のそばは心が落ち着くんだ」と言われるくらい、明るく朗らかな人物だ。
もちろんメレディスに対して非友好的な態度をとっていたら話は別だが、もちろんソフィアはそんなことしていない。
むしろ結構友好的に挨拶したはずなのに、彼女から返された声音も何だか素っ気ないようなと、ソフィアは思ってしまう。
メレディスはソフィアの横にいるゼノンへと何気なく視線を移動し、「えっ」と驚き呟き、動きを止めた。
「……そ、そちらの方は?」