そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
すると、クラウドはメレディスからそっと顔をそらし、「ゼノン様」とうっかり口を滑らせてしまったことに対し、しまったといった様子で口元を手で押さえていた。
今の時点では大丈夫と思いながら、ソフィアはクスッと笑う。
メレディスがゼノンの存在を知るのは中盤くらいなため、現時点では名前を聞いてもピンとこないだろう。
「……やっぱり、ゼノン様」
視線を前に戻しかけたソフィアの足が急停止する。
ゼノンを知っていたことになぜと動揺が走り、信じられない気持ちでメレディスへ視線を戻す。
たっぷり三秒間、メレディスと目が合い、見つめ合う。
ソフィアは疑問をぶつけようとしたが、言葉を発するよりも先にがつりと肩に腕を回され引き寄せられる。
「何している。早く俺に着いてこい」
「おっ、お父様。やめてください。転んでしまいます」
「その呼び方は辞めろ。ゼノンでいい」
肩を抱いたまま歩き出したゼノンにソフィアはよろけながら抗議した。
周囲の視線を集めながら、ゼノンとソフィアは校舎の中へと移動し、先ほどクラウドが言っていた講堂へと進んでいく。