そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
廊下には親と共にいる新入生の姿が多く散見され、少しぎこちないながらも楽しそうに笑っている様子もあり、私もたくさん友達を作れたらいいなとソフィアは微笑みを浮かべる。
講堂の入り口近くに設置された長テーブルに上級生らしき人々が並び、きびきびと受付をこなしている。
列にソフィアも並び、受付を済ませて入学パーティーが行われる講堂の中へ。
ゼノンは「懐かしいな」と目を細めて、妖精の絵が描かれたステンドグラスを見上げる。
美麗な横顔にソフィアはつい見惚れてしまっていたが、突然、ゼノンが煩わしげにソフィアを見た。
盗み見ていたことがバレてしまったかと気まずさを覚えたソフィアだったが、「おやおや」と後ろから聞こえてきた声音で、ゼノンの視線は自分ではなく、後ろにいる人物に向けられていることに気付かされる。
「側近を自分の代理に仕立てて娘と一緒に学生生活を送るなんて話を聞き、なんの冗談かと思っていたが、まさかそんな格好に化けるなんて。娘がよほど大事とみえる」
臆することなく嫌味を発してくるモーガンをゼノンは鼻で笑う。
「あぁ。大事だ。手放すのが惜しいほどに」