そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
ニヤリと笑ったゼノンにモーガンは言葉の意図を勘繰るかのように眉根を寄せる。
ふたりの間に漂うピリピリとした空気にソフィアが居心地の悪さを感じ始めた時、呑気にアルヴィンがやって来た。
「遅くないか。なかなか姿を現さないから遅刻するかと思ったぞ」と気軽な様子でソフィアに話しかけ、そしてゼノンに視線を留めて唖然とする。
アルヴィンが強張った顔でゼノンを凝視し続ける中、講堂の前方の扉から入ってきた年老いた男性が太い紐を引っ張り小さな鐘を鳴らした。
「新入生の皆さん、保護者の皆様、学長のイルバクト・ファストです。まずは、今日の良き日を迎えられたことにお祝いを申し上げます」
学長の登場に入学パーティーの始まりを察し、人々の喋り声が止む。
静まり返った講堂内を見回してからイルバクト学長は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「今年はまた会いたいと思っていた顔が多く見当たりますね。時間が許すまで、どうぞ母校でくつろいで行ってください」
イルバクト学長の視線がわずかにゼノンを捉えたのにソフィアは気づき、かつてゼノンはどんな子供だったのだろうかと想像する。
きっとクールな性格は今と同じねと考え、ソフィアはこっそり笑みを浮かべた。