そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

力強い言葉と共に話を締めて演台を離れていくイルバクトに、惜しみない拍手が送られる。

そこからふたりほど言葉を述べてから、生徒代表の女子も挨拶をし、そして在学生数人による演奏と歌が贈られる。

そこでパーティーは一区切りとなり、しばしの休憩時間に。

紫色のドリンクが乗ったカートワゴンを押して講堂に入ってきたコック服姿の男性から「歓迎ドリンクです」とソフィアもひとつ受け取って、「ステンドグラスをもう少し間近で見たいわ」とゼノンに話しかけた。

ゼノンも少し嫌そうな顔でドリンクを手に取ってから、ソフィアへ頷いてステンドグラスの近くまで歩を進めていく。

日差しを受けて妖精の紫色の瞳がきらりと輝きを放ち、「綺麗ね」とソフィアがぽつり呟く。

神聖さを感じさせるステンドグラスを見上げ惚けていると、隣にいるゼノンが飲み物を飲んでケホケホとむせた。


「この色はもしかしてと思ったらやっぱりそうだ。まさかまた先生お手製の栄養ジュースを飲むことになるなんて。昔と変わらず、酸っぱい上に変な甘さと苦さが混ざってて、最悪」

「生徒たちへ心を込めて作ったというのに、最悪だなんて言われるとは悲しいの。ゼノンは相変わらず酸っぱいものが苦手なようで」

「イルバクト先生。俺だけじゃないです。次からは普通の飲み物を提供した方が良いですよ」


< 153 / 276 >

この作品をシェア

pagetop