そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
ゼノンが後ろから自分に話しかけてきたイルバクトへと振り返ると、ドリンクを飲んだせいで咳き込んでいるだろう音が所々から聞こえてきたため、冷めた笑みを浮かべる。
普通のジュースだと思っていたのに、話を聞いていると急に得体の知れない紫色の液体に思えてきてしまう。
しかし、どんな味がするんだろうと興味も膨らみ、ソフィアは恐る恐るひと口飲み込む。
確かに酸味と甘味、それから苦味まで混在している。
とっても美味しいとは思えないけれどひどくもなく、飲めなくはないわねと再びグラスを口へと移動させた時、体の中がカッと熱くなり、ソフィアも思わず咳き込んだ。
先ほどゼノンが「栄養ジュース」と言っていたのを思い出し、ソフィアは少し涙目でイルバクトを見た。
「これはきっと、隠し味として体に良い何かが入っているのね」
「あぁ、君は察しが良い。そうだよ、その通りだ。興味があるなら、何を煎じているか教えよう」
イルバクトはソフィアに対して嬉しそうに目を細めたが、不意に不思議そうな表情へと変化した。