そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
一号室に入ってきた女子生徒が困ったように室内を見回していて、席は三人掛けとなっているが、それぞれにすでに誰かが座っていて、自動的に相席となる。
「良かったら、隣にどうぞ」と声を掛けようか迷うが、魔族でも武族でも嫌がられる可能性があるため、なかなか勇気ができない。
すると女性生徒と目が合い、その子はゆっくりソフィアへと近づいてきた。
「……あの、隣良いですか?」
「もちろん。どうぞ」
「ありがとう」
女子生徒は軽く頭を下げてから、席に腰掛ける。
何か話した方が良いかしらとソフィアは考えるが、うまい話題も思いつかず、途方に暮れそうになる。
しかし、肩まである栗色の髪の毛先に触れながら落ち着かない様子の彼女と目が合ったことで、同じ気持ちでいるのを互いに察し、ふたり揃って笑みを浮かべた。
「私、ナタリア・カミン。あなたは?」
「ソフィア・アンドリッジよ。よろしくね」
自己紹介を済ませた所で、ナタリアが少しだけソフィアとの距離を詰めて質問する。
「特別室の生徒っていうのが、あなたよね?」
「えぇ」とソフィアが認めると、ナタリアは姿勢を正しつつ、質問を重ねる。