そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
六章
二回目の試験まであと二週間と迫ったある日の昼下がり、お昼ご飯を早めに終えて、広場のベンチに座っていたソフィアは、炎の魔力と格闘していた。
教師から練習用にとたくさんもらってきた細長の魔法紙を一枚指先で掴んで、意識を集中させ魔法紙を燃え上がらせた。
紙には魔力の仕掛けがされている。まず燃え始めの炎の色が赤だ。
魔力の波動を送り込み続けると、炎がオレンジ色に変わり、第一段階がクリアとなる。
そしてさらに強く力を送り、オレンジから赤へと色が戻れば第二段階クリア。
最後に灰も残らないくらいに燃え尽くすことができたら、最高得点がもらえる。
炎をオレンジ色に変えるところまでは問題なく進められる。そしてオレンジから赤色へ戻すのもなんとかこなせるのだが、跡形もなく燃やし尽くすことがソフィアには難しい。
「火の魔力は難しいわ」
足元にポロリと落ちた黒い燃えかすを見つめながらソフィアがため息をつくと、隣に腰掛けてうとうとしていたゼノンがちらりと残骸に目を向ける。
「難しいか?」
「何かアドバイスをもらえないかしら」
「うーん」と悩むような声を発しながらそっと伸ばされたゼノンの手へと、ソフィアは魔法紙を乗せる。