そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

「アドバイスか」と呟くと同時に、掴んでいた魔法紙がボウッと一瞬で燃え上がり、跡形もなく消え去った。

ゼノンが眠そうな状態で、あくびまでしながらそれをやってのけたことに、ソフィアは呆気に取られる。


「アドバイスは……特にない。基礎からしっかり積み重ねていけば自然とできるようになるはずだ」

「そうね。私にはまだ基礎力が足りていないのかも」


前段階がいまだに不安定で出来たり出来なかったりなのだから、最終段階がうまくいかないのも当然だ。

試験まで時間があまりないため、焦りも少しあったが、まずはしっかりと炎を赤に戻すことができるようにするのが先ねと、ソフィアは気持ちを奮い立たせた。

「練習あるのみ!」と魔法紙をつかみ取った時、「キャン!」と犬の鳴き声が響いた。

そちらへ顔を向ければ、灰色の毛並みの成犬と茶色の丸々とした子犬の姿が視界に飛び込んできて、ソフィアは慌てて立ち上がる。

ミルドフキローアカデミーでは番犬として何匹か犬が放し飼いになっている。

そのため、犬がうろついていること自体は普通のことで、たまに戯れ合う姿も見かけるのだが、そこにいる二匹は違う。

成犬の方の様子がおかしくて、怯える子犬に執拗に攻撃を加えている。

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