そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「私、試験頑張るわ。絶対に負けたくない!」
ソフィアは力強く宣言して、ソファーから勢いよく立ち上がる。
そのまま机に向かっていくが、途中でぴたりと足を止め、泣きそうな顔でゼノンへと振り返る。
「魔法紙、ベンチに置いてきちゃった!」
「取りに行かなくちゃ」と慌てふためきながら部屋を出ていくソフィアに、ゼノンはふっと微笑んでから、「待て、俺も行く」と追いかけた。
それから二週間、さらに必死に勉強に取り組み、迎えた試験当日。
校舎一階で「頑張れよ」とゼノンに見送られ、ソフィアは四階の教室へ。
ソフィアがナタリアに「おはよう」と声をかけて隣に座ると、ナタリアが「これ、わからないんだけど」とソフィアの前に薬草学の教科書を広げ置いて指を差し、縋るような顔を向ける。
指を差したのは分量の計算問題で、「そこ難しいわよね」とソフィアは頷く。
その問題はちょうど昨晩ゼノンに教えてもらった箇所でもあったため、彼から学んだことをそのままなぞるように伝えると、ナタリアが感心したように「なるほど!」と目を大きくした。
その声につられたように、他のクラスメイトたちもソフィアとナタリアの周りに集まり出し、「もう一度説明お願い」とか「この部分なんだけど」などと声が飛び交い出した。