そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「最近、姫様は本当に頑張っていらっしゃいますね。私まで誇らしい気持ちになります」
嬉しそうなハンナにソフィアもちょっぴり得意げに微笑み返し、手のひらで宙をなぞるようにして、開いていたパラメーターを閉じた。
最近、「レベルを上げたい」とハンナにぼやいても話が通じず、確信をもったのだが、ハンナを始め他の人々は、自身のパラメーターやパーソナルデータが見えていないらしい。
どうして私だけ見えるのかとソフィアは不思議になるも、転生前の記憶が蘇ったことが関係しているのかもと推測し、このことに関しては黙っていようと心に決めたのだった。
ソフィアはベッドの傍らにあるサイドテーブルの上から本を両手で掴み取り、ハンナの元へ歩み寄る。
「ハンナ、本を読み終わったから、また図書館に連れて行ってもらいたくて」
「そうですか。わかりました。お昼ご飯を食べ終わったらいきましょうか」
「ありがとう。……この前行ったばかりなのに、ごめんね」
言葉ではすぐに快諾してくれたけれど、図書館に行くことに関してハンナがほんの一瞬表情を曇らせたため、ソフィアは申し訳なく思い謝罪を口にする。