そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

文字をもっと覚えたくて、子供向けの本を何度か図書館に借りに行っているのだが、その図書館は王宮の敷地内にあり、そこにいるのもほとんどが魔族の者ばかり。

居合わせた魔族に、半魔族がここになんの用だと言わんばかりの大きな態度を取られて、嫌な気持ちにさせられているのだ。

将来起こり得る悲惨な最期を回避するべく、何がなんでもレベルアップしなくてはと考えているソフィアにとって、そんな嫌味など気にしてる暇はないのだが、ハンナにとってはそうでないだろう。

「姫様が本も好きになってくれて、私はとっても嬉しいです」と微笑むハンナに、ソフィアは心の中で「ごめんね」と繰り返し謝罪した。

昼食を終えてから、ソフィアは本を片手にハンナと並んで図書館に向かう。

屋敷を出て、水蛇に襲われたあの池の橋をビクビクしながら渡ると、馬小屋や騎士団の詰所や宿舎などがある。

そこから、宮殿の裏手へと進んでいくと温室があり、その先に二階建ての図書館が建てられている。

騎士団員たちの鍛えられた屈強な体格だったり、こちらを煩わしげに見てくる眼差しが鋭くて、ソフィアには怖くて背筋を震わせる。

しかし、何も言ってこないだけマシだ。

< 37 / 276 >

この作品をシェア

pagetop