そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
自分に向けられた眼差しはとても冷たく、その口から漏れたのは温かな言葉ではなく、怠惰なため息のみ。
どうして会いに来てくれないのか、なぜこんな所に閉じ込められているのか。
それは父親にとって自分は疎ましい存在だからだと、その時ソフィアは今まで抱えてきた疑問の答えをすんなり理解したのだった。
それから、ショックで数日泣き通したけれど、そばに寄り添って温かな言葉をかけてくれるハンナや侍女たちの存在にソフィアの心の傷は癒され、幼いながらに現実を受け入れていったのだ。
「姫様、どうしました?」
「……ううん、なんでもないわ。はやく行きましょう!」
ソフィアは繋いでいたハンナの手をぎゅっと握りしめ、心の中の暗い靄を吹き飛ばすようににこりと笑ってから歩き出した。
ほどなくして池のほとりに到着する。
木々の葉など日差しを遮るものはなく、たっぷりの陽光が池の表面にキラキラと反射していて、思わずソフィアの口から「わぁ」と感嘆の声が漏れた。
そして聞いていた通り、黄色の小花が池のそばにたくさん咲いていたため、ソフィアはハンナから手を離して、小花の傍らにしゃがみ込む。
昨夜の雨粒がまだ残っているのか花びらは濡れていて、それも水面同様キラキラと光を反射していた。