そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

生活魔法はその名の通り、火をつけたり、明かりをともしたりと生活する上で出来ると便利な魔法だ。

これだけは比較的魔力の弱い武族も習得しようとする者が多い。

そして、魔力属性とはその人が一番得意とする魔力のこと。

自分の能力値からして、魔力属性はおそらく光の魔力になるだろうと考えながら、ソフィアはハンナに初級編の二冊も手渡した。


「ハンナの魔力属性は、確か水だったわね」


何度も見ている彼女のパーソナルデータを思い返しながら何気なくつぶやくと、再びハンナが目を丸くする。


「えぇ、そうです……けど、私の魔力属性のこと、姫様にお話しましたか?」

「や、やだ。前に話してくれたじゃない」


もちろんハンナの口から聞いていない。

冷や汗をかきながら早口で誤魔化すと、腑に落ちなさそうに「そうでしたか?」とハンナは首を傾げた。

転生前、いわゆる前世の記憶が蘇ってパラメーターが見えるようになったと打ち明けたら、水蛇に襲われたショックで精神的に可笑しくなったのかもと思われてしまうだろう。

それだけは避けるべく、これ以上話を続けてボロを出さないようにと、「本は決まったわ、屋敷に戻りましょう」と、ソフィアは先に受付へ向かって歩き出す。

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