そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
口元を引き攣らせ、嫌だという気持ちがしっかり顔に現れ出ているソフィアに、ゼノンはスッと目を細めた。
「不満のようだな」
「いえ、滅相もございません。座らせていただきます」
拒否したら確実に殺されると顔を青ざめさせながら、ソフィアは素早くテーブルに向かって進んでいく。
緊張からか何もないところで躓きそうになりながらも、なんとか椅子にたどり着き、生きた心地がしないままちょこっと腰掛けた。
テーブルの上の小さな皿には焼き菓子がたくさん置かれていて、無糖のような人間でも甘いものを摂取するのねと考えていると、前触れもなくゼノンがソファーから立ち上がり、ソフィアは反射的に身を強張らせる。
ゼノンはソフィアの元には来ずに、書棚へと移動する。
すらりと細長い手足、麗しい顔はとても小さくて、今の自分にとっては恐怖の対象でしかないはずなのに、目が離せない。
「勉強を頑張っていると聞いている」
独り言のように発せられた言葉はそこまで冷たくなくて、ソフィアはわずかに目を大きくした。
「……はい。自分の将来のために」
「将来?」
破滅ルートを回避する手段としてなどとは言えなくて、ソフィアはわずかに口ごもる。