そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?


「先日、ゼノン様が隣国ケットジアに訪問なさった時、姫様に物語の本を購入され、書斎に置いてありますので、取りに行く際は私に一声かけていただければと思います」


図書館の二階のあの部屋はゼノンが書斎として個人的に時折使用しているらしい。

かけられた言葉に数秒面食らうも、やはり嬉しいものは嬉しくて、ソフィアは目を輝かせてマシューを見上げた。


「お父様はどんな物語の本を選んでくださったのかしら。はやく読みたいわ! 今から取りに行っては駄目?」

「えぇ、構いませんよ。……姫様のこの後の予定は?」


微笑ましげにソフィアを見つめていたハンナは、マシューに問われてゆるりと首を横に振り、「特にありませんので、大丈夫です」と返事をする。

早速三人は図書館に向かうべく、屋敷を出た。

途中、騎士団の詰所前で、団員と共にいる白馬を見かける。

マシューに白馬は一頭だけだと聞き、そこにいるのがあの時の白馬だとわかれば、元気そうな様子にソフィアはホッと胸をなでおろした。

「お父様に物語の感想とお礼の手紙を書こうかな」と、できるだけ愛想良くしておかなくちゃと心の片隅で考えながらそんなことを話しているうちに図書館に到着する。

< 84 / 276 >

この作品をシェア

pagetop