シュクリ・エルムの涙◆

[3]左眼の秘密?

「ギ、ギブアップです! パパ……ママぁ~!!」

 茹でアスパラを食べきらない内に、畳みかけるようにやって来たスープ&リゾット。あたしは「リルの分だよ」と与えられた大盛り三皿の内の、何とか七割方を胃に収めたものの、残るそれらを目前にして、ついに弱音を吐いてしまう。いやココで吐かなかったら、違う物を吐いちゃいそうだ。

「あれ? もう?? リルは痩せてるんだから、もう少し食べてもいいと思うけど」

 べ、別に~ダイエットしてる訳じゃあないんだからね、パパ!

 ただ……もう、お腹が一杯なんだってば~!!

「じゃあ取っておいてあげるから、後で食べるのよールヴィ? それからお休み中の宿題、ちゃんと持ってきたでしょうね?」

 左斜めのママは意地悪そうな視線を向けながら、残り物を容器に移し出した。って、ママとパパが食べてきってくれてもいいんですが? 宿題もやってくれてもいいんですが??

「うう……持ってきたわよー、でもさぁ? ヴェルから戻っても一週間はあるんだよ? どうして帰ってからじゃダメなの??」

 うちの学校は九月で学年が変わる。だから春休みにはちゃんと宿題が出されるのだ。その代わり長い夏休みは自由研究だけだから、とってものんびり出来るのは……羨ましいでしょ?


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