シュクリ・エルムの涙◆
まだぼんやりとしか見えないどちらの結論も、アッシュは鮮明にするつもりはなかったみたいだ。戸惑ったままのあたしに答えることなく、「明日も早いから、もう休んだ方がいい」と戻るよう促した。
「さ……良く眠って。僕ももう少ししたらルクと交代して休むから」
「う、うん。本当にありがとう、アッシュ。あたし達のために来てくれて。あたしを連れて来てくれて」
これ以上アッシュの時間を邪魔しちゃいけない。あたしはそう思い、急いで腰を立ち上げた。お互いの目の高さがちょうど合ったその刹那──
「おやすみ、リル。また明日」
──……え?
アッシュの温かな右手があたしの左頬を包み込んで、右の頬には……柔らかな唇が僅かに触れた。
彼からの「おやすみの頬にキス」なんて、今までにもなかった訳じゃない。
でも……。
驚いてしまうくらい近かったのだ! あたしの唇の右端に!!
「……お……、おやすみ……っ!」
咄嗟にすっとんきょうな声を上げて、あたしは勢い良く身を翻した! まるで逃げるように足が勝手に動き出して……
出来るなら、すぐさま鏡で自分の顔を確認したかった……あたしの頬は、燃える炎のように赤くなってはいなかったかしら?? と──!!
「さ……良く眠って。僕ももう少ししたらルクと交代して休むから」
「う、うん。本当にありがとう、アッシュ。あたし達のために来てくれて。あたしを連れて来てくれて」
これ以上アッシュの時間を邪魔しちゃいけない。あたしはそう思い、急いで腰を立ち上げた。お互いの目の高さがちょうど合ったその刹那──
「おやすみ、リル。また明日」
──……え?
アッシュの温かな右手があたしの左頬を包み込んで、右の頬には……柔らかな唇が僅かに触れた。
彼からの「おやすみの頬にキス」なんて、今までにもなかった訳じゃない。
でも……。
驚いてしまうくらい近かったのだ! あたしの唇の右端に!!
「……お……、おやすみ……っ!」
咄嗟にすっとんきょうな声を上げて、あたしは勢い良く身を翻した! まるで逃げるように足が勝手に動き出して……
出来るなら、すぐさま鏡で自分の顔を確認したかった……あたしの頬は、燃える炎のように赤くなってはいなかったかしら?? と──!!