シュクリ・エルムの涙◆
[31]真っ赤の原因?
多分、きっと、朝までたっぷり眠った筈……!
だって眠気なんてちっとも感じないもの! 眠った覚えなんて……まったくないけど!!
身体は昨日の疲れを背負ったまま、それでもあたしは問われたくなくて、キビキビと先頭を歩いていた。
何をって~!?
もちろん昨夜のことだってば!!
べ、べ、別に~ただの「おやすみのキス」だってことは分かってるよ! あんなに唇に近かったのも、あたしが立ち上がる途中でされたから、アッシュの手元ならぬ口元が、きっと狂っただけなんだ!!
なのにどうしてだか、あたしはアッシュの顔が見られないまんまで……そんな動揺を隠したいと思ったせいか、ルクの顔も見られなかった。
「アシュリー、ルクアルノ。悪いのですが昨晩のように、お先に昼食を取りやすい場所を見つけて、準備を進めておいていただけませんか?」
気持ちの落ち着かないザワザワした背中の後ろで、ツパおばちゃんの淡々としたお願いが聞こえた。その声に驚いて、急いで足を止め振り返る。了解したアッシュはあたしの横を通り過ぎながら、「それじゃ、ゆっくりおいでね」と声を掛けて、ルクと共に目の前のけもの道を登っていった。
「どうして? ツパおばちゃん。あたしなら、まだまだ大丈夫よ!」
歩み寄るおばちゃんへ、あたしは元気をアピールしようと一層大きな声を出した。でもおばちゃんは訝しそうな表情を変えず、首を傾げ、
「本当ですか? ではどうしてそんなに顔が赤いのです? 熱があるのを我慢しているのではないですか?」
「え……」
と、相変わらずの真っ赤な瞳で、あたしの「きっと同じように赤い」ほっぺを凝視した。
ん? 同じように赤い……??
だって眠気なんてちっとも感じないもの! 眠った覚えなんて……まったくないけど!!
身体は昨日の疲れを背負ったまま、それでもあたしは問われたくなくて、キビキビと先頭を歩いていた。
何をって~!?
もちろん昨夜のことだってば!!
べ、べ、別に~ただの「おやすみのキス」だってことは分かってるよ! あんなに唇に近かったのも、あたしが立ち上がる途中でされたから、アッシュの手元ならぬ口元が、きっと狂っただけなんだ!!
なのにどうしてだか、あたしはアッシュの顔が見られないまんまで……そんな動揺を隠したいと思ったせいか、ルクの顔も見られなかった。
「アシュリー、ルクアルノ。悪いのですが昨晩のように、お先に昼食を取りやすい場所を見つけて、準備を進めておいていただけませんか?」
気持ちの落ち着かないザワザワした背中の後ろで、ツパおばちゃんの淡々としたお願いが聞こえた。その声に驚いて、急いで足を止め振り返る。了解したアッシュはあたしの横を通り過ぎながら、「それじゃ、ゆっくりおいでね」と声を掛けて、ルクと共に目の前のけもの道を登っていった。
「どうして? ツパおばちゃん。あたしなら、まだまだ大丈夫よ!」
歩み寄るおばちゃんへ、あたしは元気をアピールしようと一層大きな声を出した。でもおばちゃんは訝しそうな表情を変えず、首を傾げ、
「本当ですか? ではどうしてそんなに顔が赤いのです? 熱があるのを我慢しているのではないですか?」
「え……」
と、相変わらずの真っ赤な瞳で、あたしの「きっと同じように赤い」ほっぺを凝視した。
ん? 同じように赤い……??