シュクリ・エルムの涙◆
「最後の一週間で出来た試しがないからに決まってるでしょー! この道中は邪魔する友達も居ないんだから、絶好の勉強タイムじゃない」

 そうして呆れ顔で弁解の余地もない答えを見出したママの横で、パパは目を閉じ腕を組み、「うんうん」と深く頷いていた。

「はぁ~い……。あーでもでもパパぁ~、ちょーっと今回の数学は難しい上に、枚数が多いんだよね~。ランチの後片付けするからさー?」

 こういう時はパパに頼るに限る。ママが厳しい分、パパはちょっぴりあたしに甘いのだ。更に猫なで声で手伝うともなれば……

「ダメよーパパ、甘やかしちゃ! ママだってルヴィのことは可愛いけど、この間の成績表見たら、さすがに放っておけないんだから!」
「……って、ママが言ってるよ、リル? 頑張ってね」

 パパは苦笑いをしながら、あたしに視線を合わせるように頬杖を突いた。

 ……そうですか、そうでしょう、アレを見ちゃったなら、やっぱりね。

 あたしも同じ苦々しい笑みを返して、諦め半分だるそうに立ち上がった。
 とにかくお腹が重たい。言っちゃった手前、まずは片付けをしよ。


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