シュクリ・エルムの涙◆
「おそらくユスリハの髪を元にして生み出したのでしょう……」
「ママの……ホワイト・ゴールドの髪……」
ママの両親を殺した憎むべきザイーダを、ママ自身が生み出すきっかけになってしまったなんて……ママはその経緯を見てしまったのだろうか? せめて……眠らされていてほしい。そう願うしか今は何も出来なかった。
「……とにかく無事で良かったよ、リル」
「あっ……う、うん」
あたしの気を取り直そうとしてくれたのだろう、アッシュが弱々しくも微笑んでこちらを向いた。ありがとうとお礼を伝えなくちゃいけなかったのに、昨夜みたいに近付く顔に驚いた瞬間、強く抱き締められて身体が硬直した。
重なった胸がドキドキしてる。また頬が熱く感じて……これって、あたし……アッシュのこと、好きになっちゃったんだろうか……??
「──あっ!!」
ってことは、ツパおばちゃんも弓のお師匠様のことが好きだってこと──!?
「荷物の番をしながらルクも心配しているから、先を急ごう」
あたしを解放したアッシュは壁をよじ登り、手を伸ばしてあたし達を崖の上に引っ張り上げてくれた。
そうよ、そうよ! ダメだなぁ~鈍感にも程があるでしょーリルヴィさん!
ツパおばちゃんの恋バナ、根掘り葉掘り聞かなくちゃ!!
あ? いえその前にアイガーよね!? 十匹も子犬を産んでくれた愛妻ちゃんのお話を聞くべきですよ!
と、同時に思ってしまった。あたしの可愛い「お姉ちゃま」ピータンにも、早くステキなお婿さんを見つけてあげないとね──!!
[註1]ザイーダ:今作の第一話にて、リルヴィの母ユスリハの両親が、化け物に襲われ亡くなった事は説明しておりますが、実際にはリルヴィの父ラヴェルの家族も、ザイーダにより命を奪われております。
「ママの……ホワイト・ゴールドの髪……」
ママの両親を殺した憎むべきザイーダを、ママ自身が生み出すきっかけになってしまったなんて……ママはその経緯を見てしまったのだろうか? せめて……眠らされていてほしい。そう願うしか今は何も出来なかった。
「……とにかく無事で良かったよ、リル」
「あっ……う、うん」
あたしの気を取り直そうとしてくれたのだろう、アッシュが弱々しくも微笑んでこちらを向いた。ありがとうとお礼を伝えなくちゃいけなかったのに、昨夜みたいに近付く顔に驚いた瞬間、強く抱き締められて身体が硬直した。
重なった胸がドキドキしてる。また頬が熱く感じて……これって、あたし……アッシュのこと、好きになっちゃったんだろうか……??
「──あっ!!」
ってことは、ツパおばちゃんも弓のお師匠様のことが好きだってこと──!?
「荷物の番をしながらルクも心配しているから、先を急ごう」
あたしを解放したアッシュは壁をよじ登り、手を伸ばしてあたし達を崖の上に引っ張り上げてくれた。
そうよ、そうよ! ダメだなぁ~鈍感にも程があるでしょーリルヴィさん!
ツパおばちゃんの恋バナ、根掘り葉掘り聞かなくちゃ!!
あ? いえその前にアイガーよね!? 十匹も子犬を産んでくれた愛妻ちゃんのお話を聞くべきですよ!
と、同時に思ってしまった。あたしの可愛い「お姉ちゃま」ピータンにも、早くステキなお婿さんを見つけてあげないとね──!!
[註1]ザイーダ:今作の第一話にて、リルヴィの母ユスリハの両親が、化け物に襲われ亡くなった事は説明しておりますが、実際にはリルヴィの父ラヴェルの家族も、ザイーダにより命を奪われております。