シュクリ・エルムの涙◆
「ル、ヴィ? だ、大丈夫? 怪我してない??」
バカ。怪我してるのか訊いているのはこっちなのに! 人の心配ばっかりして……!!
「……うん。大丈夫だよ……心配掛けてごめん」
心の中で怒鳴った言葉は、喉から飛び出す前に呑み干して、あたしはぎこちない笑顔を作った。全てを拭き終えたアッシュが、こちらを向いて手招きをする。見ればルクの手は小刻みに震えていた。実戦なんて初めてだった筈……あたしはアッシュに促されて、彼の両手を強く握り締めた。冷たい肌が次第にあたしの掌の熱を吸い取っていく。こんなこと……ルクにもアッシュにもさせたくなかった……ごめんね、本当に……本当に、ごめん。
「ルヴィの手……あ、あったかくて……気持ち、い──」
「ルク……?」
手元から上げた視線に、入ったのはルクの寝顔。
すぐ後ろの幹に寄り掛かったまま、ルクは微笑みを湛えて眠りこけていた。
「ごめんね、ルク……ありがと……」
あたしは彼の腰に腕を回して、胸の中で涙を堪えた──。
[註1]アイガーの愛妻「ホルン」の名:アイガー同様、スイスの山「マッターホルン」から戴いてみました♪
★ ★ ★
バカ。怪我してるのか訊いているのはこっちなのに! 人の心配ばっかりして……!!
「……うん。大丈夫だよ……心配掛けてごめん」
心の中で怒鳴った言葉は、喉から飛び出す前に呑み干して、あたしはぎこちない笑顔を作った。全てを拭き終えたアッシュが、こちらを向いて手招きをする。見ればルクの手は小刻みに震えていた。実戦なんて初めてだった筈……あたしはアッシュに促されて、彼の両手を強く握り締めた。冷たい肌が次第にあたしの掌の熱を吸い取っていく。こんなこと……ルクにもアッシュにもさせたくなかった……ごめんね、本当に……本当に、ごめん。
「ルヴィの手……あ、あったかくて……気持ち、い──」
「ルク……?」
手元から上げた視線に、入ったのはルクの寝顔。
すぐ後ろの幹に寄り掛かったまま、ルクは微笑みを湛えて眠りこけていた。
「ごめんね、ルク……ありがと……」
あたしは彼の腰に腕を回して、胸の中で涙を堪えた──。
[註1]アイガーの愛妻「ホルン」の名:アイガー同様、スイスの山「マッターホルン」から戴いてみました♪
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