シュクリ・エルムの涙◆
[40]別れの時? 〈年表〉
少しの沈黙の後、傍らで伏せていたアイガーが、飼い主を気遣うようにその足元へ寄り添った。
「私は本来ウェスティの花嫁候補としてではなく、叔母と従弟の都合の良い「遣い」として育てられることとなったのです。ウェスティがかつて犯した殺戮からも見て取れるように、彼らには『ジュエル』を操りヴェルを掌握するという目的がありました。その為の遣いとして……ですが思いがけず、その呪縛から逃れる好機に恵まれます。私が三歳の頃、サリファがウェスティを懐妊し、王家が花嫁候補を確保し出したことが事の始まりでした。候補者の一人として、王から時を止める魔法を掛けられた私は、お陰でジュエルの力を分け与えられ、サリファの思惑も、彼女が私を「ノーム」と呼ぶ意味も知りました」(註1)
三歳で判明した衝撃の事実。賢いツパおばちゃんならば、幼心にも理解出来たのだろうけれど……裏切られた気持ちは、ちゃんと消化出来たんだろうか?
「私は本来ウェスティの花嫁候補としてではなく、叔母と従弟の都合の良い「遣い」として育てられることとなったのです。ウェスティがかつて犯した殺戮からも見て取れるように、彼らには『ジュエル』を操りヴェルを掌握するという目的がありました。その為の遣いとして……ですが思いがけず、その呪縛から逃れる好機に恵まれます。私が三歳の頃、サリファがウェスティを懐妊し、王家が花嫁候補を確保し出したことが事の始まりでした。候補者の一人として、王から時を止める魔法を掛けられた私は、お陰でジュエルの力を分け与えられ、サリファの思惑も、彼女が私を「ノーム」と呼ぶ意味も知りました」(註1)
三歳で判明した衝撃の事実。賢いツパおばちゃんならば、幼心にも理解出来たのだろうけれど……裏切られた気持ちは、ちゃんと消化出来たんだろうか?